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小宮山政晴(教授) 分子研リポート2002 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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研究系及び研究施設の現状 185

界面分子科学研究部門(流動研究部門)

小宮山 政 晴(教授)

A -1)専門領域:触媒表面科学、光表面化学

A -2)研究課題:

a) 走査型トンネル顕微鏡( S T M )による光触媒励起状態の空間分解分光 b)S T M による脱硫触媒活性点構造の解明

c) 燃料電池用水蒸気改質触媒の開発

d)アパチャレス近接場光学顕微鏡( S NOM )の試作

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) S T M を用いて,紫外・可視光による光触媒励起状態の原子レベルでの空間分布測定を試みた。ルチル型T iO2(110)表 面においては,特定の構造部分が特定波長の光照射に対して応答することが見出された。たとえば325 nmの紫外光 照射に対しては(110)面のほぼ全域が応答したが,とくにステップ部分の応答が著しかった。一方442 nmの可視光を 使用した場合には,ルチル型T iO2のバンドギャップが3.2 eV であるにもかかわらず,ステップの一部ならびに(2×1) 表面再構成構造の一部が光照射に応答した。現在この光応答の局所構造依存性を,局所電子状態から解釈しようと 試みている。

b)近年の燃料油中の硫黄含量規制の強化を受けて,石油系燃料の深度脱硫の重要性が増してきている。このプロセス では通常C o-Mo硫化物系の触媒が使用されるが,その活性点構造は必ずしも明らかではない。そこでST MによりC o- Mo硫化物系触媒の調製過程と活性点構造を明らかにするための研究を開始した。本触媒系は調製途中で硫化水素 による硫化が必要になるため,ST Mの前処理室として硫化処理専用のチャンバを製作した。現在,二硫化モリブデン の基底面にC oカルボニルを吸着させ,これを分解・硫化して調製したモデルC o-Mo硫化物の表面構造を原子レベル で観察し,MoS2上でのコバルトカルボニルの吸着位置や分解・硫化後の Mo,C o,S 各原子の相対位置の解明を試み ている。

c) 水素燃料電池を用いた発電は,環境負荷の低さならびに装置の小ささからくる分散電源としての可能性から,将来 家庭における主要な発電装置として期待されている。オンサイトでの水素発生には,都市ガスやプロパン,灯油など を水蒸気改質する必要があり,そのための長寿命・高効率触媒の開発が急務となっている。ここでは灯油を燃料とす る場合を想定して,その水蒸気改質触媒の開発と評価を開始した。現在R u/α-Al2O3系触媒の寿命・活性の評価方法に ついて検討中である。

d)アパチャレス S NOM は,通常の S NOM の分解能が光ファイバプローブの開口径で制限されるのに対して分解能の 制限がなく,原子分解能を実現する可能性の高い手法である。その試作のために,装置,制御回路,検出系などの設計・ 試作を行っている。

B -1) 学術論文

Y. YOKOI, G. YELKEN, Y. OUMI, Y. KOBAYASHI, M. KUBO, A. MIYAMOTO and M. KOMIYAMA, “Monte Carlo Simulation of Pyridine Base Adsorption on Heulandite (010),” Appl. Surf. Sci. 188, 377 (2002).

(2)

186 研究系及び研究施設の現状

M. KOMIYAMA, Y. -J. LI and D. YIN, “Apparent Local Structural Change Caused by Ultraviolet Light on a TiO2 Surface Observed by Scanning Tunneling Microscopy,” Jpn. J. Appl. Phys. 41, 4936 (2002).

B -4) 招待講演

M. KOMIYAMA, “Application of Scanning Probe Microscopy to Catalyst Research: A Few Examples,” The Workshop of Molecular Design and Simulation, Changsha (China), June 2002.

小宮山政晴 , 「S T Mによる触媒表面と光との相互作用:T iO2 (110)」, 第 90 回触媒討論会 A, 浜松 , 2002 年 9 月 .

B -7) 他大学での講義、客員

山梨大学工学部 , 「物理化学大要」「基礎物理化学」「資源物理化学」, 2002年度 . 新潟大学工学部 , 「機器分析化学」, 2002年 8月 5日 -7日 .

東京工業大学工学部 , 「機器分析特別講義」, 2002年 11 月 11 日 .

島根大学総合理工学部 , 「物質設計特論」「物質設計特別講義」, 2002年 12月 16日 -18日 . 湖南師範大学 , 客員教授 , 2001年 -.

C ) 研究活動の課題と展望

固体表面と光との相互作用は,ことに光触媒反応との関連で興味深い研究課題である。固体表面の光励起は一般的には 無限の三次元配列を想定する固体のバンドモデルで解釈されるが,光触媒反応はナノレベルの局所原子配列によって左 右され,この両者を統合的に理解するためには固体表面の光励起を原子分子のレベルで把握することが必要不可欠であ る。このために原子レベルのローカルプローブであるST Mを使用して,光触媒の励起過程とその触媒反応過程の解明を進 めている。さらに通常の分光法にプローブ顕微鏡の手法を生かした空間分解能を組み合わせる手段として,アパチャレス S NOM の試作と応用を行う。

また化石燃料使用による環境問題の悪化を極力回避するためには,脱硫のような対症療法から燃料電池使用のような根本 的解決法まで,さまざまな局面での取り組みが必要である。これらの問題を触媒という側面から検討したいと考えている。

参照

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